技−デジタル復元技術

紫外線撮影

 赤外線とは対極にあるのがこの紫外線ですが、しかし赤外線撮影ほど知名度は高くない様です。

紫外線は紫色より外側の波長の短い光で、10nm〜400nmとされ、赤外線同様に人の目には見えません

紫外線撮影が行われるのは、警察の鑑識や美術品の修復現場などが有名で、特に文書の偽造を見破るのに有効だったりします。これは紙には蛍光を発するものが多く、これに対して書いた文字を消しゴムで消したり、インク消しで消したりすると、その表面が変化して、蛍光を発しなくなることがあるからです。

それを紫外線撮影では画像として映し出したり、美術品の修復現場で、美術品の「修復跡」を見つけたりすることに応用されます。

 文化財の復元では、絵画などの「白い絵の具」の上に、一度描かれた絵柄で、現在は肉眼では消えて見えないものなどを、「画像」として写しだしたり出来る場合があります

 ただこれも赤外線撮影同様に、万能ではなく、「効果がある」場合があるという程度にとどめておくべきだと思います。

この紫外線は、ご存知のように「太陽」には多く含まれ、「肌荒れ」や印刷物の「色褪せ」を促進する性質があり、文化財に対しては「調査」のための必要悪と見なされてはいますが、文化財そのものの劣化に繋がりますから、決して多用すべきものでは有りません。

 
現状画像
紫外線画像
赤外線画像

光源としては、太陽以外に「蛍光灯」にも含まれますが、家庭用の蛍光灯にはさほど多くの紫外線は含まれず、撮影は難しいと思いますが、「ブラックライト」や「殺菌用蛍光灯」には多くの紫外線が含まれます。

しかし赤外線とは逆で、「タングステン電球」には紫外線は含まれません。 また赤外線撮影と同様に「紫外線透過フィルター」を用いて、「可視光線」をカットして撮影します。

赤外線フィルターはゼラチンフィルターとして存在しますが、紫外線フィルターにはゼラチンで出来たものはなく、ガラス製に限られ、また性質上非常に高価なものです。

 
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